マツダのロータリーエンジン、魅力的なのは知ってるけど構造がよくわからない
現在も開発が続いているって本当なの?
ロータリーエンジンといえば、マツダが世界で初めて量産に成功したエンジンで、RX-7やRX-8に搭載されているエンジンとしても有名ですね。小型軽量のため搭載位置の自由度が高く、前後重量配分を最適化しやすい点が特徴です。
そんなロータリーエンジンですが、燃費規制などの問題から、2012年に生産は終了しています。
しかしマツダはこのロータリーエンジンの可能性を捨てておらず、現在でも開発が続いていると噂されています。
この記事では、そもそもロータリーエンジンとはどんなエンジンなのか、ロータリーエンジンのメリット・デメリット、マツダが開発を進めていると噂されるロータリーエンジンはどんな仕様なのかについて徹底解説します!
そもそもロータリーエンジンってなんだ!?
Wikipediaより引用
そもそもロータリーエンジンの構造・動作がよくわからない!
ロータリーエンジンは一般的なレシプロエンジンとは構造も動作も異なります。まずは、ロータリーエンジンの基本的な構造と、どのように動作してエネルギーを発生させているのかについて、確認していきましょう。
ロータリーエンジンの基本的な構造
ロータリーエンジンは大きく分けると、まゆ型のローターハウジングとその中にある三角形のローター(おむすび)の2つで構成されています。
その他の燃料供給系・吸排気系・潤滑系・冷却系・電気系などはレシプロエンジンと同様に別途設けられますが、ローター自体に弁機能があるので吸排気バルブなどの動弁系は不必要となります。
またレシプロエンジンの往復運動はクランクシャフトを介して回転運動に変換していますが、ロータリーエンジンは回転運動をそのまま動力としているため、構造がシンプルで低振動・低騒音というメリットがあります。
Motor-Fan TECH.より引用
Motor-Fan TECH.より引用
ロータリーエンジンの動作
ロータリーエンジンは、まゆ型のハウジングとおむすび(ローター)との間にできた空間で混合気を燃焼、その圧力でおむすび(ローター)が回転します。この運動が繰り返されることにより、車が走行する動力を作り出します。
このgif動画が分かりやすいかも。
Wikipediaより引用
gif動画の通り、1回の吸気~排気に要する出力軸の回転数は、ロータリーエンジンでは1ローターあたり1回転です。対して4ストロークレシプロエンジンでは1気筒あたり2回転。つまり、出力軸1回転あたりの燃焼回数が2倍となるため、同じ総排気量でも出力が高いです。
この違いも、ロータリーエンジンが理想的なエンジンと言われる所以です。詳しくは、ロータリーエンジンのメリットで解説します。
ロータリーエンジンのメリット・デメリット
ロータリーエンジンは通常のレシプロエンジンとは構造が異なるため、当然メリット・デメリットが発生します。それぞれどんな特徴があるのでしょうか?
ロータリーエンジンのメリット
ロータリーエンジンのメリットは下記の通りです。
1.軽量かつコンパクト
2.低振動かつ低騒音
3.排気量に対し高出力
4.エンジン回転がなめらか
5.オクタン価の低いガソリンでも効率的に動く
1.軽量かつコンパクト
同程度の出力で比較した場合、ロータリーエンジンは軽量且つコンパクトです。このため、エンジン搭載位置の自由度が高くなり、均等な前後重量配分やクルマの軽量化を実現することができます。また、搭載自由度の高さは電気自動車のREX(レンジエクステンダー)などにも向いています。
ローターは公転運動をしていますが偏心量は小さく、レシプロエンジンと比較すると低振動・低騒音です。
ロータリーエンジンは構造上、出力軸1回転あたりの燃焼回数がレシプロエンジンと比べると2倍となるため、同じ総排気量でも出力が高いです。
燃焼~排気までの各行程が270°(レシプロエンジンの1.5倍)と長いので、ロータリーエンジンのトルク変動は4ストロークレシプロエンジンより小さくなります。
燃焼温度が低いためノッキングしにくく、オクタン価の影響を受けにくいです。
ロータリーエンジンのデメリット
ロータリーエンジンのデメリットは下記のとおりです。
1.燃費が悪い
2.排気音が大きい
3.低速トルクが少ない
4.エンジンオイルの消費が激しい
低回転域の燃焼安定性が悪く、街乗りなど主に低回転域で走る際には、燃費が悪化してしまいます。
排気バルブがなく排気ポートが急激に開くため、排気騒音が大きいです。
低回転域の燃焼安定性が悪く、この領域のトルクとレスポンスは同出力のレシプロエンジンと比べて劣る傾向です。
ローターハウジングの内面とローター上のアペックスシール(おにぎりの尖がってる部分)との間で潤滑のためオイル供給が必要であり、このためオイル消費量が多くなります。
現在も開発が続いているって本当?
ロータリーエンジンはマツダの成長を支えてきたと言っても過言ではないエンジンです。トヨタをはじめ、多くの自動車メーカーが試作段階で諦めていたエンジン。マツダが世界で初めて量産に成功したのは、飽くなき挑戦の結果だと思います。
そんなロータリーエンジンですが、小型軽量で振動が少ない利点を活かし、マツダは発電専用エンジンとして復活させることを発表しています。いわゆる、REX(レンジエクステンダー)です。搭載予定はMX-30です。
EVモデルの航続距離を延ばすために発電専用エンジンを組み合わせたものがREXで、バッテリーに蓄えた電気エネルギーがなくなったらエンジンで発電し、その電気で走り続ける仕組みです。マツダはこの発電用エンジンにロータリーエンジンを採用するようです。
ロータリーエンジンの復活は嬉しいですが、走行用エンジンではないのが少し寂しいところですね。しかし環境規制で絶滅したかと思われていたロータリーエンジンの復活は、どんな形であれファンにとって嬉しいことは間違いないでしょう。
マツダがロータリーエンジンの開発を諦めない理由とは?
マツダがロータリーエンジンの開発を諦めない理由は何なのでしょうか?
それはやはり、「マツダの飽くなき挑戦」と「チャレンジ精神」がこのロータリーエンジンの開発の原動力になっているからだと、私は思います。
創業以来、幾度の経営危機に陥ったマツダですが、何度も立ちなおしてきました。その力が、絶滅と思われていたロータリーエンジンを復活へと導き、内燃機関を現在の環境に適応させるマルチソリューションの1つになっているのでしょう。
まとめ
この記事では、ロータリーエンジンの基本的な構造から、マツダが開発を進めているロータリーエンジンについてご紹介しました。
発電機専用なのは少し寂しい気持ちがありますが、それでもロータリーエンジンの復活は本当に嬉しいです。
マツダには得意とする内燃機関の開発にこれからも期待していますし、電気と内燃機関が共存する世の中を作っていってほしいです。